研究課題/領域番号 |
17780247
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境農学
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
川上 顕 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター・赤かび病研究チーム, 主任研究員 (00370601)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | フルクタン / フルクタン分解酵素 / 低温順化 / 越冬性 / コムギ |
研究概要 |
北海道をはじめとする長期積雪地帯では、冬季に3〜5カ月間にわたり雪に覆われる。この間、作物は暗黒条件に置かれるため光合成を行うことができない。そのため積雪前に蓄積した糖類、特にフルクタン(スクロースにフルクトースが複数重合したオリゴ糖及び多糖)を分解して得られるフルクトースをエネルギーに変換し生存する能力(耐雪性)が必要となる。さらに、積雪下の0℃・多湿環境は好冷性糸状菌である雪腐病菌による作物への加害が大きな問題となる。作物は菌感染時にフルクタンを急激に分解し、得られたエネルギーを元に抵抗反応を示す。このとき、フルクタンを分解する役割をするのがフルクタン分解酵素(Fructan exohydrolase : FEH)である。積雪下でのフルクタン分解機構を解析することは、長期積雪地帯での作物の越冬能力を明らかとし、それらを向上させることにつながる。そのため、本研究では、積雪下でのフルクタン分解にかかわるFEHの分子生物学的解析を行った。 本年度は、昨年度までに単離したL21-3遺伝子由来組換えタンパクのコムギフルクタンに対する分解活性を解析した。その結果、L21-3遺伝子がコードするFEHは、コムギが低温順化過程で蓄積するすべて構造のフルクタンを分解することが可能なことが明らかとなった。次に、低温順化させた後に積雪下に埋設したコムギを用いてL21-3遺伝子の発現解析を行った。雪腐病菌を接種せずに積雪下に埋設したコムギでは、その茎葉部及びクラウン部でL21-3遺伝子の発現量増加は認められなかった。雪腐病菌を接種した場合、クラウン部ではL21-3遺伝子の発現量増加は認められなかったが、茎葉部でその発現量が増加することが明らかとなった。そのため、L21-3遺伝子は雪腐病菌感染によるコムギ茎葉部におけるフルクタン分解に関与していることが示唆された。
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