研究課題/領域番号 |
17790008
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉浦 正晴 東京大学, 大学院薬学系研究科, 講師 (00376592)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | アンモニア / 含窒素化合物 / 第一級アミン / 2-アザ-Cope転位反応 / 白金触媒 / 不斉触媒 / アミノメチル化 / Mannich反応 / ホモアリル第一級アミン / アンモニア水 / 界面活性剤 / α-アミノ酸 / 転位反応 |
研究概要 |
本研究は、これまで窒素源として利用の少なかったアンモニアを、原子効率の高い窒素源として積極的に活用し、含窒素化合物を立体選択的に構築することを目指したものである。 前年度は、我々が開発した、アルデヒド・アンモニア・アリルボロネートの三成分反応(アミノアリル化反応)において、取扱い容易なアンモニア水を用いる手法を開発した。また、グリオキシル酸とアンモニアから容易に調製できるアミナールの一種であるヒドロキシグリシンとアリルボロネートとの反応が、メタノール中、トリエチルアミン存在下で円滑に進行し、無保護のアリルグリシン誘導体が立体選択的に得られることを見出した。一方、後者の反応においてγ-置換アリルボロネートを用いると、目的のγ-付加体が優先的に得られるものの、このγ-付加体はグリオキシル酸とイミンを形成すると、2-アザ-Cope転位を起こしてα-付加体へと異性化することを見出した。 そこで、平成18年度は、この転位反応を利用する光学活性第一級ホモアリルアミン合成法を検討したところ、高エナンチオ選択的な手法(トランスファーアミノアリル化反応)を見出すことができた。すなわち、光学活性なカンファーキノンを、アンモニアを用いてアミノアリル化したところ、完全なジアステレオ選択性で対応する第一級ホモアリルアミンを得た。次に、このアミンに対して、種々のアルデヒドを酸触媒存在下で作用させたところ、イミン形成と2-アザ-Cope転位を経由して、対応する光学活性第一級ホモアリルアミンを95%eeを超える高エナンチオ選択性で得られることを見出した。なお、用いたカンファーキノンは容易に回収し、再利用することが可能であった。本手法は、2-アザ-Cope転位を利用する初めての高エナンチオ選択的な第一級ホモアリルアミン合成法であり、キラルビルディングブロックの効率的な合成法を提供することが期待される。 一方、不斉源の効率的利用を目指し、アンモニアを用いる第一級アミン合成の不斉触媒化を検討したところ、パラホルムアルデヒドとアンモニアガスを用いるβ-ケトカルボニル化合物のアミノメチル化反応や、アンモニアガスを用いるアルデヒドと単純ケトンの直接的Mannich反応が、白金-ホスフィン錯体触媒の存在下で効果的に促進されることを見出した。また、これらの反応で光学活性ホスフィン錯体を用いると、まだ中程度ながらエナンチオ選択的に反応が進行することを見出した。本成果は、アンモニアを原子効率の高い窒素源として用いるキラルアミン合成プロセスに新しい方法論を提供するものである。
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