研究課題
若手研究(B)
野生型CooAの結晶化まず、野生型CooAを培養精製により大量に獲得し、純度をSDS-PAGEで確認後、酸化型および還元型に関して結晶化を行った。初期の結晶化条件検討には当研究室ですでに購入済みであった結晶化剤スクリーニングキットを用い、蒸気拡散法であるハンギングドロップ法によって行った。しかしながら、数十種の結晶化条件を検討したにも関わらず、酸化型、還元型のいずれにおいても微結晶すら確認できなかった。これは以前から言われていたように"ゆらぎ"の部分が存在するため、均一な二量体構造を保持できていないためと考えられる。この均一性を獲得するため、転写因子であるCooAの標的遺伝子配列cooFを結晶化する際に導入することが改善策として考えられた。cooF遺伝子に関してはすでに短鎖DNAを用いて獲得に成功しており、ベクターに組み込んでいるため要時調製が可能である。現在はこの遺伝子を用いた複合体の結晶化条件の検討段階にある。機能性変異体の調製変異体の調製には、Stratagene社のQuikchangeを用い、野生型CooAの配列について部位特異的変異を導入した。124位のメチオニンを塩基性残基のアルギニンに置換した変異体M124Rについて検討を行った。M124Rはすでに酸化型でも転写活性を示すことが報告されているが、その分光学的データは少なかったため、精製後に紫外可視吸収スペクトルを測定した。他の変異体に比べ、M124Rは発現量も少なく精製も困難であったため、高純度のタンパク質を得るためにはこれまでの変異体とは異なる精製段階を考える必要があり、現在はカラム樹脂の条件を検討している。なお、結晶化には用いることは出来ないが、精製後の分光学的あるいは転写活性能測定はすでに可能な段階にあり、結晶化のみでなく他の側面からも検討していく予定である。