研究課題/領域番号 |
17790042
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
|
研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
吉川 豊 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (20388028)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 糖尿病 / α-グルコシダーゼ / 亜鉛 / 銅 / バナジウム / 作用メカニズム / 金属錯体 |
研究概要 |
前年度の実験結果から、酵母由来のα-グルコシダーゼを用いたin vitro実験系において、銅(II)、亜鉛(II)およびバナジウム(IV)元素にα-グルコシダーゼ阻害効果があり、その効果は金属イオンおよび錯体により異なることが分かった。本年度の実験では、ラット小腸由来のα-グルコシダーゼを使用し、その阻害効果を検討したところ、昨年度の結果と同様、銅(II)、亜鉛(II)およびバナジウム(IV)元素に強い阻害効果が認められた。そこで、その阻害活性の大小とIrving-Williamsの安定度序列との間の相関性を検討すると、金属の安定度定数と阻害活性の間には相関性が認められた。in vitro実験において特に活性の高かった、銅(II)イオン、Cu(pa)_2錯体およびCu(6mpa)_2錯体を健常マウスを用いたin vivo実験に供したところ、用量依存的にα-グルコシダーゼを阻害することが分かり、その効果は現在医薬品として使用されているアカルボースと同程度であった。1型糖尿病モデル動物であるSTZマウスを用いた同様の検討でも、これらの化合物は、α-グルコシダーゼを阻害することが分かった。さらに、速度論的解析(Lineweaver Burk-plot)から、銅(II)イオンおよび銅(II)錯体は、酵母およびラット小腸由来のα-グルコシダーゼを、非拮抗的に阻害することが明らかとなった。酵母由来α-グルコシダーゼを用いたCDスペクトルの観察から、Cu(II)イオンおよびCu(II)錯体はα-グルコシダーゼの立体構造を変化させることが分かり、また、Cu(II)イオンとCu(II)錯体では酵素に及ぼす構造変化が異なることを明らかにした。 以上の結果より、銅関連化合物が非常に強いα-グルコシダーゼ阻害活性を有することを明らかにすることができ、より詳細な安全性の検討を行った上で、今後新たな無機医薬品としての開発が期待される。
|