研究課題/領域番号 |
17790066
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤田 亮介 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (70380855)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 非小胞性遊離機構 / FGF-1 / TAT / S100A13 / ProTα / necrosis / apoptosis / cell death mode switch / カルシウムイオン / FRET / シナプトタグミン / アストロサイト |
研究概要 |
本研究はストレス誘発性の非小胞分泌機構とその意義を解明する事を目的としている。これまでの報告や研究成果から、AIDS脳症の原因として考えられているTransactivating regulatory protein(TAT)や神経栄養因子であるFGF-1、あるいはこれまでの所属研究室において見出された神経保護蛋白質ProTαが、熱や飢餓ストレスによって細胞内に存在する大部分の蛋白質を細胞外に遊離すること、さらには、それぞれアミノ酸配列内にシグナル配列を有しておらず、小胞遊離機構以外で細胞外へ遊離されている事が明らかになった。非小胞性遊離機構の解明では、FGF-1を用いた検討から、ストレス誘発性非小胞遊離機構の解明を行った。その結果、FGF-1は無血清飢餓ストレスにより、Ca^<2+>結合タンパク質S100A13と結合した状態で遊離される事をストレス負荷後の細胞外培養上清のプロテオミクス解析から明らかになった。さらに再構成蛋白質を用いた分子間相互作用定量水晶発振子(QCM)法において、FGF-1はS100A13のC末端領域で結合していることも明らかになった。一方、ProTαは、FGF-1同様に無血清飢餓ストレスにおいて、細胞外に遊離することが証明された。さらにはこうしたストレス性の非小胞性遊離機構の生理的意義を明らかにするため、ProTαの機能について検討を行った。ネクローシス誘発性ストレスに応じて大半のProTαが細胞外に遊離するがアポトーシス性の刺激では観察されなかった。ProTαは周囲の細胞に対してパラクライン的に作用し、PKCの活性化に続くGLUT1/4の細胞膜への局在化と細胞内ATP量上昇によりネクローシスを抑制し、逆に同じくPKCの活性化を介するがBaxの発現上昇機構を介してアポトーシスを誘発した。このアポトーシスは脳内ではストレス性に誘発される神経栄養因子により完全に抑制されることも明らかになった。過去の報告では、ProTαはapoptosome形成を抑制することが知られている。従って、細胞がネクローシス刺激を受けるときとアポトーシス刺激を受けたときではそれぞれ細胞内と細胞外で異なる保護機構を示すことが明らかになった。以上の結果から、大量に細胞外に遊離する非小胞性機構は細胞の生存維持に重要な機能を果たすことが示唆された。
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