研究概要 |
心筋カリウムチャネルβサブユニットによる交感神経刺激応答の多様性と不整脈発現について調べるために、ボアを持たないがリン酸化などによる制御を修飾するメカニズムを電気生理学的、細胞生物学的に検討した. 平成18年度の研究実績を以下に述べる. (1)前年度の研究により,穿孔パッチ法を用いた手技の改善を行ない、薬物添加前後の値の比較を可能とした.そこで、KCNE3-KCNQ1はcAMPによる制御を受けないにもかかわらず、KCNE2-KCNQ1はcAMPによるKCNQ1リン酸化の制御を受け、電流が増大することを見出した.KCNE2-KCNQ1の制御は、心臓だけでなく特に胃腸管などの分泌系でも重要である。本年度は,KCNE2-KCNQ1チャネルのcAMPによる制御には,KCNQ1のN末端上のSer^<27>のリン酸化が必須であることを同定した.cAMP制御に関与しないKCNE3では,比較的相同性が高いKCNE1とKCNE2の細胞内C末端部位が切断されていることから,次の実験(2)をデザインした. (2)KCNEファミリーによるcAMP制御の分子メカニズムを明らかにするために,KCNE1のC末端の切断変異体がcAMP制御に与える影響を検討したところ,KCNE1 N79からY94の部分が制御に必須であることを見出した.現在,(1)の結果とあわせて,論文執筆中である. 2,性ホルモン非ゲノム経路を介した心筋イオンチャネル制御と不整脈発現 朝鮮人参の心臓作用を検討した結果,性ホルモン非ゲノム経路を介した心筋イオンチャネル制御(Pharmacol Therapeu 2007)を初めて見出した(Mol Pharmacol 2006).その他,心筋イオンチャネルの制御が不整脈等の病態発現に関与しているメカニズムを検討した(JMCC2006).
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