研究課題
若手研究(B)
細胞間接着の形成についてはこれまでアドヘレンスジャンクションの接着分子カドヘリンやタイトジャンクションの接着分子クローディンを中心に多くの研究が進められてきたが、細胞間接着が形成される過程における細胞-基質間接着と細胞間接着のクロストークの分子機構については不明な点が多い。このクロストークの分子機構を解明する目的で、細胞-基質間の接着分子インテグリンが、当研究室で見出された新規細胞間接着分子ネクチンとどのように協調作用して、両分子が細胞間接着の形成に関与しているかを解析し、本年度は、以下のような知見を得た。1.ネクチンによる細胞間接着形成におけるインテグリン活性化の分子機構ネクチンによる細胞間接着の形成時に、ネクチンと活性化したインテグリンαvβ3の両者は物理的・機能的に相互作用し、細胞間接着の形成を促進したが、その相互作用の分子機構について解明した(J Biol Chem,2006)。また、細胞間接着の完成後、インテグリンαvβ3は不活性化してネクチンと細胞間接着部位で共局在した。細胞間接着形成におけるインテグリンの活性化・不活性化を制御する分子群を同定し、これらの分子群もネクチンにより制御されていることを見出した(投稿準備中)。2.ネクチンによるカドヘリンのリクルートおよびアドヘレンスジャンクション形成におけるインテグリンの作用機序ネクチン結合部位へのカドヘリンのリクルートおよびアドヘレンスジャンクション形成には、ネクチンによる低分子量Gタンパク質Cdc42、Racの活性化を介したアクチン細胞骨格の再編成が重要であり、この過程においてインテグリンαvβ3の活性化が必要であった(J Biol Chem,2006)。さらに、ネクチンが活性化したインテグリンαvβ3と共に細胞内シグナル伝達を活性化する分子機構の一つとしてプロテインキナーゼCが関与することを明らかにした(論文印刷中)。
すべて 2006 その他
すべて 雑誌論文 (8件)
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