研究概要 |
レーサーマイクロダイセクションを利用して、早期胃癌30例から癌部のDNAを抽出し,MSP(methylation specific PCR)法にて,DNAメチル化状態を検索した.15個の遺伝子を検索した.深達度(粘膜内,粘膜下層)による違いは明かでなかったが,腫瘍の最大径とメチル化を示した遺伝子数の間には負の有意な相関がみられた.メチル亢進状態が生物学的悪性度と負の関連があることを反映している可能性が考えられたが,癌の進展に伴って,メチル化の亢進が一部で解除される可能性も考えられた. 胃癌培養細胞株を金田らのCIMP(CpG island methylator phenotype)マーカー(LOX, FLNc, HAND1, TM, HRASLS)を利用して検索した結果、AGS、MKN74がCIMP-H群、TMK1、MKN1、MKN7がCIMP-N群となった。これらの胃癌細胞株について、DNA脱メチル化剤5-AzaCを加えた場合の増殖率を比較した。その結果、いずれの細胞株も5-AzaCによる増殖抑制効果は見られたが、CIMP状態の違いによる5-AzaCの増殖抑制効果の違いは明らかでなかった。細胞株の種類がが比較的少量であることから、CIMP状態以外の因子が5-AzaCの反応性を規定している可能性が考えられた。 胃癌細胞株4、外科切除胃癌検体12サンプルについて、イルミナGoldenGateメチル化Cancer Panelを利用して、メチル化が亢進している遺伝子群を抽出した。CIMP群とされるEBウイルス関連胃癌とそれ以外での比較で、EBウイルス関連胃癌でメチル化が有意に亢進している114遺伝子、メチル化が減少している91遺伝子からそれぞれ10遺伝子に対し、MSP法のプライマーを設計した後,症例数を増やしてMSP法にて、再性を確認している。 以上の結果を,投稿すべく準備を進めている.
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