研究概要 |
マウスcore2 β1,6-N-acetylglucosaminyltransferase mucus type(C2GnT-M)遺伝子をクローニングするために、ヒトC2GnT-M遺伝子のcDNA塩基配列を用いてデータベース検索を行った。次に、マウスの大腸からmRNAを抽出し、RACE法を用いてC2GnT-M遺伝子のcDNAを取得した。5'-RACEでは1種類、3'-RACEでは2種類のcDNA断片が得られた。マウスC2GnT-MのmRNAは2種類あると考えられ、その完全長塩基配列は約4.3kbおよび2.25kbであった。DNA塩基配列との比較により、C2GnT-M遺伝子は3つのexonで構成され、そのopen reading frameはexon3に位置しており、2つの異なるポリA付加部位を使用していることが示唆された。RACEプロダクトの一部をプローブにしてノーザンプロット法を行ったところ、2本のバンドが確認され、大腸や小腸、胃に強い発現が認められた。次に、合成ペプチドを用いてポリクローナル抗体の作製を行った。抗体の検定は、ウエスタンブロット法を用いて行った。C2GnT-Mの触媒領域をPCRクローニングにより発現ベクターに組み込み、Panc1細胞にトランスフェクションしてFLAGタグとの融合タンパク質を発現させ、抗体の特異性を確認した。免疫染色によりC2GnT-Mは、大腸の杯細胞、小腸の杯細胞やパネート細胞、ブルンナー腺、胃の腺窩上皮、副細胞、幽門腺に発現が認められた。C2GnT-Mは、MUC2やMUC5AC、MUC6などの分泌型ムチンを分泌する細胞に発現していることが示唆された。以上の内容は英語論文にまとめ現在投稿中である。また、ヒト大腸癌におけるC2GnT-Mの発現を免疫染色により検討したところ、分化型腺癌では発現が低下しているが粘液癌には強い発現が認められた。
|