研究概要 |
【はじめに】沖縄県は多くの島嶼を抱えており,人的・物的交流に障害もある。本研究は,病理医間の交流をもとにさらにそれを拡大し,臨床医,研修医,医学生の研修・教育をもおこなえる包括したシステム,すなわちネットワーク型地域テレ(パソ)コミュニケーションシステムの構築を目指すものであった。本年度はより高い質を要求される病理医間での症例検討(review)に本システムを応用した。【方法】基本システムは前年度のものを踏襲したが,一部のPCにおいて機器やOSの更新を試行することもおこなった。実証試験では,顕微鏡画像の画質や転送速度が症例検討に十分耐えうるものであったかを評価の対象とし,webカメラ・マイクで配信される画像・音声(テレビ会議の質に相当)の評価もおこなった。【結果】顕微鏡画像の質はCCDカメラの性能に依存し,本ネットワーク・システムそのものには根本的に依存しないこと,現システムでは十分な転送速度が得られたことが確認された。ただしこれまでも問題となっていた,機器の制限からくるリアルタイム配信の実現には至らず,今後の課題として残った。一方,テレビ会議システムとしてのwebカメラ・マイクの性能には問題はないが,マクロ画像やその場での追加提示資料を示すにあたっては,画質が不十分なこともあった。Webカメラの簡易性・安価性を取るか,高機能ながら汎用性の制限と,高価格なカメラを使用するかはケース・バイ・ケースでの判断が必要かもしれない。【結語】我々が構築したシステムはNikon DS2Mv-DS-L1というカメラシステムを採用することで,市販の安価なwebカメラとの組み合わせで特別なスペック・仕様を要求されない。このため,1人病理医あるいは病理医不在病院をはじめ規模の比較的大きくない施殴でも容易に導入可能であり,かつある程度の画質・転送速度を得ることができ,コスト・パフォーマンスに優れたシステムと思われる。
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