研究課題/領域番号 |
17790242
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
下山田 博明 横浜市立大学, 医学部, 助手 (60381472)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 肺癌 / 胸膜播種 / 血管内皮増殖因子 / 癌性リンパ管症 |
研究概要 |
1.ヒトVEGF-A、VEGF-C、VEGF-Dベクター作成及び培養肺ガン細胞への遺伝子導入: 1)VEGF-A、-C、-D高発現肺癌培養細胞(TKB6)のRNAよりRT-PCRを用いてVEGF-A、-C、-DのcDNAを作成し、これらを用いて各VEGF-A、-C、-Dの発現ベクターを構築した。 2)各VEGF発現ベクターをヒト肺癌培養細胞(TKB5)に遺伝子導入し、VEGF-A、-C、-D、-A/D、-A/C、-C/Dをそれぞれ安定して高発現する肺癌培養細胞を得ることに成功した。これらの発現細胞間の増殖能に有意差は無かった。 2.ヌードマウスへのVEGF-family遺伝子導入肺癌細胞の移植: 上記の各VEGF発現細胞のうちVEGF-A、-C、-D、-C/D発現細胞とコントロール細胞をヌードマウスの右胸腔内に接種し、胸腔内における癌性胸水形成能、胸膜播種形成能、播種巣内血管およびリンパ管新生能に対する各VEGFの影響について評価した。 1)コントロール細胞接種では、胸水や胸膜播種形成が見られなかったのに対し、VEGF-A、-C、-D、-C/D発現細胞接種では高度の癌性血性胸水や胸膜播種の形成が見られ、これらの腫瘍進展とVEGF-familyの相関を強く示唆する結果が得られた。 2)VEGF-A、-D発現細胞において、マウスのsurvival rateの低下と迅速な血性胸水と胸膜播種の形成が見られた。 3)VEGF-C/D発現細胞において縦隔リンパ節への転移傾向が認められた。 3.VEGF-family発現細胞による胸膜播種巣の組織学的、免疫組織化学的検討: 1)各VEGF-A、-C、-D、-C/Dにおける胸膜播種巣における組織学的所見において、VEGF-Aと-D発現細胞では血管密度が高く、VEGF-Dは播種巣形成においてVEGF-Aと同等の血管新生能を発現することにより、播種形成の促進に関与している可能性が認められた。 2)VEGF-A、-C、-D発現による播種巣内での顕著なリンパ管増生所見は見られなかった。しかし、VEGF-D、-C/D発現細胞では縦隔組織への接着性が高く、VEGF-C/D発現細胞では縦隔リンパ節への転移が見られた。VEGF-Dの発現細胞と胸管を含めたリンパ管網への親和性はVEGF-A、-C発現細胞よりも高く、腫瘍の転移形式に異なる影響を及ぼす可能性が認められた。
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