研究概要 |
本研究は、enterovirus71型(EV71)が細胞に感染する際に認識する、細胞膜上レセプターの同定を目的とする。本研究に用いるレセプター同定法(パンニングを用いた発現クローニング法)には、EV71粒子が必要となる。しかしポリオウイルス等に比べ、EV71は増殖効率が悪く、大量にウイルス粒子を得るのは困難であった。 本年度はパンニング法を改良するため、バキュロウイルスを用いたEV71ウイルス様粒子(VLP)大量発現系の構築を行った。 (1)EV71キャプシド蛋白質(VP4,VP2,VP3,VP1)を発現する組換えバキュロウイルスを構築した。 (2)EV71非構造蛋白質3CDを発現する組換えバキュロウイルスを構築した。 (3)昆虫由来Tn5細胞に(1)(2)の二種類の組換えバキュロウイルスを共感染させ、VLPの発現を解析した。同時に感染させる場合に比べ、遅れて3CD発現組換えバキュロウイルスを感染させた場合の方が、VLP発現量が高くなることを明らかにした。 (4)EV71キャプシド蛋白質、非構造蛋白質3CDを異なるプロモーターで発現できる組換えバキュロウイルスを作製した。これにより、(3)の方法に比べて簡易で、しかも大量のVLPを合成できる系を確立できた。 上記のように作製したVLP、および前年度に作製したレトロウイルスライブラリーの組み合わせにより、パンニングによる発現クローニング法を改良できた。この方法により、EV71レセプター候補分子が分離されつつある。
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