研究課題/領域番号 |
17790365
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
平工 雄介 三重大学, 大学院医学系研究科, 講師 (30324510)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 肺がん / アスベスト / 黄砂 / DNA損傷 / 8-ニトログアニン / 活性窒素種 / 炎症 / 誘導性NO合成酵素 |
研究概要 |
大気中に浮遊する繊維・粒子状物質による健康障害、特にアスベストによる中皮腫や肺がんなどの健康被害は重大な社会問題である。アスベストによる発がんには慢性炎症が重要な役割を果たすと考えられる。したがって繊維・粒子状物質による慢性炎症を介した呼吸器疾患、特に発がんのリスク評価法の開発が緊急に必要である。8-ニトログアニンとは、炎症条件下で生成される変異誘発性DNA損傷塩基である。研究代表者らは、種々の臨床検体や動物モデルで8-ニトログアニンが発がんと関連して生成されることを免疫組織学的手法を用いて初めて明らかにした(Biol Chem 2006,Antioxid Redox Signal 2006)。本年度は、アスベストを気管内投与したマウスの気道上皮で8-ニトログアニン生成および誘導性NO合成酵素(iNOS)の発現を認め、発がん性の強いクロシドライトを投与した方がクリソタイルの場合より染色性が強い傾向があった。黄砂を気管内投与したマウスでも気道上皮で8-ニトログアニンの生成およびiNOS発現を認めた。また、炎症関連発がんに関して以下のような成果を得た。胆管癌を起こすタイ肝吸虫に感染した動物の肝内胆管上皮における8-ニトログアニン生成は、抗寄生虫薬により抑制された(Int J Cancer 2006)。ヒトパピローマウイルス感染による子宮頸部異形成患者の生検標本で8-ニトログアニン生成を認めた(Cancer Sci in press)。軟部肉腫患者においては、がん組織における8-ニトログアニン生成が生存期間の短縮と有意に相関するという注目すべき知見を得た(Cancer Sci 2007)。以上の結果から、8-ニトログアニンは繊維・粒子状物質による炎症を介した肺がんなどのリスク、および患者の予後を評価できる新規バイオマーカーとして応用出来る可能性を見いだした。
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