平成18年度は、精製効率を重視して酢酸を用いずに分析を行い、市販の農薬混合標準溶液を利用して約400種類の農薬やその代謝物の検討を行った。抽出には50mL容量のプラスチック製遠心管を用いて、あらかじめ均一化した試料10gにアセトニトリル20mlを加え、ホモジナイザーで撹拌抽出を行った。その後無水硫酸マグネシウムと塩化ナトリウムを加え、ブタをして手で激しく振盪して塩析脱水を行い、遠心分離を行って粗抽出液を得た。この粗抽出液をグラファイトカーボン(GCB)と一級二級アミン(PSA)を積層したカラムに負荷し、精製を行った。分析法を小スケールで単純化した為、数検体であれば農産物の均一化から測定可能となるまでの時間を3時間以内とすることができた。測定機器には有機リン系農薬の測定にはFPDを用い、ピレスロイド系農薬や有機塩素系農薬の測定には負化学イオン化法(NCI)GC/MSを用いた。これに加え、GC/MSのスキャンモードを用い、GCで測定可能な農薬の定性、定量を行った。また今回はLC/MS/MSを用い、GCで測定困難な農薬の分析を行った。その結果、測定可能であった農薬や代謝物は合計で382種類であった。3〜5種類の代表的農産物を対象に添加回収試験を行った結果、70〜120%の回収率と20%以下の相対標準偏差が得られたものは、GC測定では256種類、LC測定では56種類の農薬で良好な結果が得られた。各農薬の検出下限値は0.1〜50ng/gの範囲内であった。
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