研究概要 |
前年度に作製した超小型バックエレクトレット型マイクロホン(直径3mm、厚さ1.5mm)を用いた集音システムを使用して健常大学生5名を対象に夜間睡眠時の呼吸音を記録した。咽頭鼻部よりに音源があるイビキは鼻孔より僅かに挿入したマイクロホンで大きく聴取され,咽頭喉頭部よりに音源があるイビキは頸部に装着したマイクロホンと鼻腔内のマイクロホンで同程度の感度で聴取された。また,呼吸音のウェーブレット解析では,咽頭鼻部よりに音源のあるイビキは1000Hz前後の主要成分とより高音の小さな成分が混在したパターンのスケログラムを示した。一方,咽頭喉頭部よりに音源のあるイビキは600〜800Hzの範囲にパワーが広がっているパターンのスケログラムを示した。また,イビキを伴わない口呼吸の場合,鼻腔内のマイクロホンで聴取された呼吸音は微弱であり,無呼吸との鑑別が困難なケースが多数あった。以上の結果より,鼻腔内の小型マイクロホンと頸部に装着した小型マイクロホンからなる集音システムによって録音された呼吸音の解析から,閉塞型睡眠時無呼吸症候群については,閉塞部位と閉塞の程度を推定することが可能となることが示唆された。しかし,イビキを伴っていない中枢型睡眠時無呼吸症候群や中枢型から閉塞型に移行する混合型の睡眠時無呼吸症候群については,呼吸の停止が確認しにくく,口唇部に小型マイクロホンを装着するか,サーミスタやストレンゲージなどの音声以外を検出する呼吸ピックアップを併用して呼吸運動を記録する必要性が示唆された。
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