本年度は、金沢工業大学校舎屋上に設置された日射・紫外域日射計測器から取得された観測データを用い、地上到達紫外域日射量の基本特性を明らかとした。また、外壁サンプルを用いた紫外域日射反射実験を行い、壁面種類別の反射率データを作成した。 観測成果の取りまとめは、壁面反射の発生する都市街路空間における照射量推定計算の際に基礎データ(壁面への入射分、人体への直射分)として使用するためのもので、季節・時間帯特性や気象要素との対応関係、直散分離に関する解析を中心に行い、得られた数値データを季節や時間帯別に整理した。これは、紫外域日射環境の基礎評価と直散分離に関する解析として、紫外域日射分光データ(屋上での水平面観測値)と同期間の気象データより、波長帯域別紫外域日射量UV-A、UV-B及び生体影響に関する指標値に換算したデータを、季節・時間帯・気象条件毎にまとめたものである。また、日射量と紫外域日射量の全天観測値と直達光観測値から直散分離を行い、同様のデータ整理を通して、紫外域光の散乱特性を日射量との相違から明らかにした。 外壁種類別紫外域日射の反射実験は、計測機器類及び試料(各種ガラス、ビル外壁用建材のサンプル)を入手及び作成し、夏季の屋外実験を通して、入射及び反射角度を考慮した紫外域日射反射率データを取得した。得られた実験データを用いて、外壁種類別の紫外域日射反射特性の相異について、分析を行った。 観測成果と反射実験成果を用い、都市におけるビル壁面反射を考慮した紫外域日射被照環境評価を目的とした被照量推定モデルのベースを作成した。
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