研究概要 |
・新たな脂肪性肝炎動物モデルの作成 1:自然発症アポE欠損高脂血症マウス(Spontaneously Hyperlipideic Mouse) 2:Akitaマウス(糖尿病自然発症マウス) に対して固形高脂肪食を15週投与し、肝組織を摘出した。肝細胞の脂肪沈着は両者共に少なく、脂肪肝の形成には至らなかった。特に高脂血症マウスは黄色腫が著明で早期に死亡するものも多く見られた。平成17年度の結果でも報告したように、マウスは脂肪代謝の回転が速く、飼料のみで脂肪性肝炎を作成するのは困難であるものと思われた。一方、我々の研究室ではウサギを用いた脂肪性肝炎モデルの作成にも着手し、ヒト脂肪性肝炎に類似するモデルを作成することに成功した(Otogawa K, et al: Am J Pathol 170; 967-80, 2007)。 ・メチオニン・コリン欠乏食(Methionine-choline deficient diet; MCDD)モデルにおける病態進展のメカニズムの検討 マウス及びラットなどで脂肪性肝炎に類似した病理像を呈する飼料として知られるMCDDモデルを作成し、その病理学的特長を検討した。興味深いことに、本モデルではマクロファージが脂肪肉芽腫を形成しその大きさ・個数が経過と共に増大する。更に、本モデルでは投与開始15週で肝硬変を呈するが、コラーゲン線維は脂肪肉芽腫周囲に出現した。これらの事実より、本モデルの病態進展においてマクロファージが重要な役割を果たしていることが示唆される。今後はノックアウトマウスやshRNAなどを用いた更なる検討が必要と思われる。
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