研究概要 |
冠動脈バイパス術(CABG)が施行された急性心筋梗塞(AMI)患者および狭心症(AP)患者より採取された心嚢液また血清中のG-CSF濃度と末梢血における骨髄由来前駆細胞との関連について比較検討した。AMI患者64例(緊急CABGを施行した24例およびPCIを施行した38例)およびAP患者46例を対象とした。AMIおよびAP患者より採取された約10ccの血液を採取した。なお、AMI患者においては発症後1,2,3,5,7,14日目においても10cc程度の採血を施行した。また、大動脈および冠状静脈洞レベルにおける血液を10cc程度採取した。さらにCABG中に採取された心嚢液を5cc程度採取した。血清および心嚢液の遠心後の上澄みを用いてG-CSF濃度を測定した。さらに緊急CABGが施行されたAMI発症後1,2,3,5,7,14日目における血液を用いて骨髄由来前駆細胞をフローサイトメトリーにて測定した。 【結果】 1.心嚢液および血清中G-CSF濃度は、AP患者と比較してAMI患者で有意に高値であった。また、AMI患者において心嚢液中G-CSF濃度は血清G-CSF濃度と比較して約8倍高値であったが、AP患者では差が認められなかった。 2.AMI患者における血清G-CSF濃度は健常者と比較して有意に高値であったが、AP患者では差が認められなかった。 3.AMI患者における心嚢液中G-CSF濃度と血清G-CSF濃度は正の相関を示した。 4.冠状静脈洞における血清G-CSF濃度は大動脈における濃度と比較して有意に高値であった。 5.AMI患者における血清G-CSF濃度は発症後1日目にピークを示し、CD34陽性細胞は発症後3日目にピークを示した。
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