研究課題/領域番号 |
17790487
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中西 道郎 京都大学, 医学研究科, 医員 (60378726)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 突然死 / 不整脈 / イオンチャネル / NRSF / 心不全 |
研究概要 |
転写抑制因子NRSF(Neruron-Restrictive Silencer Factor)が心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)あるいは脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)をはじめとする心筋胎児型遺伝子の発現調節に関与していることを明らかにした研究の継続として、転写抑制因子NRSF(Neruron-Restrictive Silencer Factor)の作用を心筋特異的に阻害したトランスジェニックマウス(dnNRSF)を作成して検討した結果では、この動物では心筋における心筋胎児型遺伝子発現の亢進とそれに引き続く心拡大・収縮不全が認められた。さらにこのdnNRSFは大多数が突然死で死亡することが判明したが、心電図モニターによる記録から本モデル動物では心室性不整脈が頻発しており、心室頻拍から心室細動を経て死亡することが確認された。ヒトにおいても心不全に多い突然死に心室性不整脈が関与する頻度が高いことは以前から推測されており、今年度は、このモデル動物における心筋遺伝子発現調節を検討することにより致死性不整脈の発症機序に迫れる可能性を考えて検討を進めた。先行する検討でNRSFが心筋胎児型遺伝子発現を調節するメカニズムとしてclass I HDACと会合することが重要であることはすでに明らかにできていたので、続いて、心筋などに特異的に発現するclass II HDACが関与する可能性とその機序についてを検討した。結果として、心筋細胞内でNRSFがclass II HDACであるHDAC4あるいはHDAC5と結合すること、エンドセリン-1による細胞外からの心筋細胞肥大刺激によりこれらclass II HDACは核内から核外に移行することなどが明らかになった。実際に、大動脈結紮による圧負荷モデルマウスにおいて心筋におけるNRSFとclass II HDACとの結合が抑制されたことから、生体内における心肥大、心不全発症機序に本メカニズムが関与することが証明され、この分子による遺伝子発現調節機構の破綻が心不全における致死性不整脈の発症機序に関係する可能性が示唆された。
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