研究課題/領域番号 |
17790516
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
川村 晃久 京都医療センター, 研究員 (90393199)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | ES細胞 / 心筋細胞 / 分化 |
研究概要 |
我々は胚性幹細胞(ES細胞)から心筋細胞への分化に必要な新規因子を網羅的に探索するため、心筋マーカー遺伝子であるNkx2.5の下流にGFPをノックインしたマウスES細胞株を用い、ランダム変異のハイスループット・スクリーニングを行った。レトロウイルスによって変異を挿入したES細胞を96-wellプレートで平面培養し、転写調節因子GATA-4の脱アセチル化を抑制するトリコスタチンA (TSA)によって心筋分化を誘導した。分化効率をGFPを指標にしたフローサイトメトリーによって測定した結果、有意に心筋分化が抑制されたクローンを複数得ることができた。3'RACEにより、クローンの一つでcAMP依存性タンパク質リン酸化酵素(PKA)の調節サブユニット遺伝子(PRKAR1B)が欠損していることを特定した。PRKAR1BはPKAと結合することによってその酵素活性を阻害し、cAMPと結合することによってPKAから解離する。cAMP/PKAシグナルがES細胞の心筋分化に関わっているかを調べるため、IBMXを投与して細胞内cAMP濃度を上昇させたES細胞の心筋分化効率を測定した。ES細胞からハンギング・ドロップ法により形成した胚様体に培養初期から継続的にIBMXを投与した結果、これらの胚様体ではTSAによる心筋分化効率が減少した。また、Nkx2.5およびGATA-4の発現量をRT-PCRによって定量した結果、IBMXを投与したES細胞ではこれらのRNA量が著名に減少していることがわかった。以上の結果は、PRKAR1BがES細胞の心筋分化に必要であり、cAMP/PKAシグナルの活性化が、心筋分化を抑制していることを示している。本研究はES細胞から心筋分化における新しいシグナルの探索として、その医学的・生物学的意義は大きいと考えられる。
|