研究課題
若手研究(B)
気管支喘息の増悪因子としてウイルス感染が深く関与しているが、その詳細な機序は不明である。本研究は菌体成分認識受容体であるTLRの観点からその機序を解明することを目的とした。平成17年度は、種々のTLRリガンドが気道上皮細胞へ及ぼす影響をin vitroで検討し、ウイルス二重鎖RNAを認識するTLR3のリガンドのみが、ケモカイン産生やアポトーシスを誘導することを報告した。この結果をふまえ、平成18年度は、poly I:Cが既存のアレルギー性炎症気道炎症にいかなる影響を及ぼすかをin vivoで検討した。A/Jマウスに、OVA腹腔感作、点鼻チャレンジを行って喘息モデルを作成後、poly I:Cを3日間追加で点鼻投与し、気道過敏性測定、気管支肺胞洗浄を行った。気管支肺胞洗浄では、OVAチャレンジで好酸球、リンパ球数が増加したが、Poly I:C追加点鼻で好酸球、リンパ球がさらに有意に増加した。気道過敏性はOVAチャレンジで上昇したが、Poly I:C追加点鼻でさらに上昇した。また、肺組織では、TUNEL陽性アポトーシス細胞数がpoly I:C追加投与で増加した。ウイルス成分の中でもTLR3リガンドである二重鎖RNAが炎症細胞集積増強を介してアレルギー性気道炎症を増悪させることがin vitro, in vivoの結果から示唆された。肺構築細胞死がその機序の一部を担っていることも示唆された。
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