研究課題
若手研究(B)
骨粗鬆症や慢性腎不全患者は、糖尿病性腎症の著しい増加や社会の高齢化により、年々増加の一途をたどっている。特に腎機能不全患者では、透析技術の進歩に伴い長期生存が可能となった。それと同時に、初めは問題とされなかった二次性副甲状腺機能亢進症などによりもたらされる骨合併症が新たに出現し、患者の予後を左右する重大な問題となっている。特に高リン血症は、副甲状腺細胞を刺激して副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を亢進させ、二次性副甲状腺機能亢進症の発症をもたらす。腎不全患者においてその恒常性は破綻しており、いかに食事からのリンを制限するかが大切となっているが。食事性のリンを抑えるのみならず、摂取後のリンの恒常性調節機構の解明する為には生体内のリンセンサーのリン濃度を感知する機構(リンセンサー)の解明が必要である。リンセンサーの候補分子として示唆されるtype IIc Na/Pi STノックアウト(KO)マウスの詳細な解析を行い、体内リン濃度感知機構について検討すると共に、type IIc Na/Pi STのホモログであるtype II Na/PiとのWKO mouseの作製及び、解析を行った。Type IIc Na/Pi ST KOマウスは正常マウスと比較して生理学的に大きな違いは見られなかった。しかしながら、type IIc Na/Pi STは高カルシウム尿症を伴う遺伝性低リン血症性クル病の原因遺伝子であることがポジショナルクローニングにより明らかとなったことより、type IIc Na/Pi STが非常に重要な因子であることが示唆される。そこで、更に詳細に検討したところ、尿中カルシウム排泄の増加、活性型ビタミンD濃度の有意な増加、及び骨細胞から分泌されるフォスファトニン(FGF23)の血中濃度の有意な低下が見られた。また、WKOマウスは成長遅延及び、低リン血症、クル病を呈していた。
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