研究概要 |
1.未解明常染色体優性遺伝性脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration ; SCD)の原因遺伝子の探索 2004年に同定した、3p26.1-25.3に連鎖する常染色体優性遺伝性SCDの家系(spinocerebellar ataxiatype15;SCA15)(Neurology2004;62:648-651)について、候補領域内にさらに詳細なマイクロサテライトマーカー5つをデザインし解析した結果、有力な候補遺伝子領域を3番染色体短腕上の約165kbpに絞り込んだ。 2.未解明常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症の遺伝子座および原因遺伝子の探索 未知の常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症(AR-SCD)の家系を集積する過程で、既知のAR-ACDの一つであるSacsin遺伝子異常によるSCDの新たな家系を2家系見いだした。いずれも新規の変異(C922T, C6355T)であった。このうちC6355Tを有する例は,Sacsin遺伝子異常によるAR-ACDの大きな特徴とされている"痙性"を欠き,これまでのsacsinopathyの臨床的多様性を示唆するものと考えられた.またC922T変異は,これまで既知の変異が集積していたexon9以外のexonに存在しており,sacsinの全coding領域の解析の重要性を示唆するものであった.一方、未解明のAR-SCDの新規の原因遺伝子座の同定を目的に,Early onset cerebellar ataxia withretained tendon reflexと考えられる6家系について、また、Freidreich失調症の原因遺伝子であるfarataxin遺伝子のGAAリピートの増大を欠くFreidreich型の失調症6家系にっいて、それぞれ全ゲノム(811遺伝子座)のgenotypingを終了した。 3.家族性多系統萎縮症(familial MSA)の遺伝子座および原因遺伝子の探索 新たにFamilial MSAの家系を4家系集積し、そのうち2家系について全ゲノム領域のgenotypingを終了した。これまで解析した2家系と合わせ、計4家系について、non-parametric連鎖解析およびparametric連鎖解析を行った。その結果、第2番染色体上にNPL score=4.40,parametric lod score=2.98の遺伝子座を、また第3番染色体上にNPL score=5.12,parametric lod score=2.96を記録する遺伝子座を見いだした。
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