研究概要 |
平成18年度、本研究では、ミルク由来ペプチドに含まれる新規抗アレルギー物質の単離、および作用メカニズムの解明を目的として実施した。本研究におけるペプチドサンプルはペプチドメーカー(DMVJAPAN)より入手し平均分子量の異なる4種のカゼイン由来ペプチド混合物を用いた。ペプチド混合物を培地中へ添加し24時間培養後、培養上清中のIgE産生量をELISA法により測定した。その結果、CE90GMM(平均分子量640Da)およびWE80BG(平均分子量570Da)のみに有意なIgE産生抑制効果が認められた。また、CE90GMMに関しては橋本ら^<1)>の報告により数種類のペプチドが同定されており、本研究では同定されたペプチドの中で低分子量のEQPI(Glu-G-Pro-Ile)、DMES(Asp-Met-Glu-Ser)、KIKE(Lys-Ilc-Lys-Glu)、HAQ(His-Ala-Gln)の4種類に着目し同様の検討を行ったところKIKEならびにHAQに有意なIgE産生抑制効果が認められた。さらに、FITC標識KIKEを用いて、KIKEペプチドと細胞との相互作用を蛍光顕徽鏡にて検討したところ、KIKEはり266細胞内に取り込まれて作用し膜部分に強く局在していることが明らかとなった。よって、KIKEは1型アレルギーに対して効果を有する低分子ペプチドの一つとして期待された。 ^<1)>Hashimoto K. et al., J.Argic.Food Chem.53,3801-3806,2005. [学会発表;2件] 1,岡本威明、小野紗佑里、湊川洋介 「乳タンパク質由来ペプチドにおける新規抗アレルギー物質の検索」 第13回 日本免疫毒性学会学術大会 講演要旨集 p69.2006. 2,岡本威明、小野紗佑里、湊川洋介 「ミルク由来ペプチドにおける新規抗アレルギー物質の探索」 2007年度 日本農芸化学会 大会講演要旨集 p283.2007.
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