研究概要 |
平成18年度と同様に移植骨髄由来心筋細胞の発現率の向上を第一の目的とした研究を行った.平成18年度以前は成獣マウスを研究対象としたが安定的に移植骨髄由来心筋細胞を得ることができなかった.そこで今年度は成獣に比してより増殖能を有する新生仔マウスを用いて実験を行った. <実験方法>(1)レシピエントマウスにG-CSFまたはSDF-1の投与:ドナー由来移植骨髄細胞の発現を促す目的で顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)またはストロマ細胞由来因子-1(SDF-1)の投与を行った.(2)ドナーの骨髄細胞をレシピエントマウスの心臓に直接注入:ネンブタールを腹腔内に投与し鎮静後開胸し骨髄細胞を直接心筋内に注入した. <実験経過ならびに結果>新生仔マウスからレシピエントマウス(心筋梗塞モデルマウス)を作成することは心臓のサイズが小さく困難であった.実験方法1に関して:新生仔マウスに骨髄細胞を経静脈的に移植することは血管のサイズの面で困難であったため,腹腔内にG-CSFならびにSDF-1を投与したが安定的に移植骨髄由来心筋細胞を得ることができなかった.実験方法2に関して:新生仔の心筋梗塞モデルマウスを開胸し,心筋内への直接注入した場合,死亡するケースが多く,実験1と同様に安定的に移植骨髄由来心筋細胞を得ることができなかった. <実験総括>予備実験では心筋梗塞モデルレシピエントマウスにドナー由来移植骨髄細胞が発現していることは明らかであるが,その発現量が少なく,それを改善するためにいくつかの方法を試みたが,同様に発現量が少なく,パッチクランプ法を応用し細胞のイオンチャネルレベルから心筋細胞としての機能を検討しようとした研究目的は十分に達成できなかった.
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