研究概要 |
目的:最適な光療法を行うために、光療法の作用機序で重要な(EZ)-サイクロビリルビン排泄のパラメータの発達的特長を明らかにする 対象と方法:当院出生で高ビリルビン血症に対し光療法を行った新生児46人を対象とした。先天奇形、溶血性疾患、肝疾患のある児や交換輸血を行った児は除外した。対象となった児は在胎週数25〜41週(中央値34.8週)、出生体重656g〜3810g(中央値1987g)、光療法中止時の日齢2〜9(中央値5)であった。光療法中止時から経時的に採血を行い、高速液体クロマトグラフィーでビリルビン光異性体分画を測定した。血清(EZ)-サイクロビリルビン濃度と時間のプロットによる排泄速度過程の決定を行った。それを元に血清(EZ)-サイクロビリルビン排泄の半減期を求めた。さらに在胎週数と出生体重とその半減期の関係を検討した。 結果:血清(EZ)-サイクロビリルビン排泄速度過程は、43人で一次速度過程であった。残り3人は全例超出生体重児であり0次速度過程であった。一次速度過程による血清(EZ)-サイクロビリルビン排泄の半減期は68〜274分で、中央値125分であった。0次速度排泄過程の児における半減期は148、250、298分であった。一次速度排泄過程の児の半減期と出生体重(r=-0.469,p<0.01)及び在胎週数(r=-0.408,p<0.01)とには有意な弱い負の相関を認めた。 考察:超低出生体重児や在胎周数の非常に若い児ではサイクロビリルビンの排泄が悪く、強い光療法によりサイクロビリルビンの排泄と産生のバランスが崩れ、サイクロビリルビンがうつ滞する可能性が示唆された。
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