研究課題/領域番号 |
17790826
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
奥川 学 関西医科大学, 医学部, 准教授 (80343672)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 統合失調症 / 核磁気共鳴画像 / 脳形態学 / 抗精神病薬 / 神経線維 / MRI / 灰白質 / 白質 / 認知機能 |
研究概要 |
DSM-IVの診断基準を満たした統合失調症患者と健常被験者を対象とした。すべての試験参加者には、本研究の内容を十分に理解してもらった後、同意の得られた選出者にMRIを実施している。また、患者の発症年齢、罹病期間、治療歴などについて調査を行った。全対象者について、1.5 TeslaのGE Signa Horizon LXを用いて1.5mm間隔のT1強調画像を3.0mm間隔のT2強調画像を撮像し、脳形態学的解析にはBRAINSプログラムを用いた。このプログラムを用いて、大脳各部位の灰白質・白質・脳脊髄液の体積を測定した。結果、患者群では健常者群と比較して前頭葉の白質と側頭葉の灰白質の体積が有意に減少していた。また前頭部と側頭部の脳脊髄液量は有意な増加を示した。その他の部位では有意差はみられなかった。前頭葉は意欲や思考を司ることから、統合失調症患者における前頭葉体積の減少は陰性症状と関連があること、また側頭葉は言語や聴覚の働きを担っていることから、その部位の体積の減少は幻聴や妄想などの陽性症状と関連がある可能性が示唆された。 一般に尾状核は認知機能に関与していることが知られている。統合失調症患者において認知機能障害が見られることから、われわれは統合失調症患者の尾状核の体積について解析を行った。統合失調症患者群においては認知機能障害を改善する作用を有する第2世代抗精神病薬オランザピンによる治療を行った。オランザピンの平均投与期間は186±60日であった。結果、オランザピン治療後の尾状核体積は治療前と比較すると増加していた。また認知機能症状についても改善が図られたことから薬物治療による効果である可能性が考えられた。以上の研究から、統合失調症患者の脳形態学的変化と薬物療法による症状改善のメカニズム解明の一端を担うことができた。
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