平成19年度も引き続きシーメンス社、Avant 1.5テスラと同社の3 inchの小径表面コイルを使用して模擬病変(乳腺ファントム)、乳腺病変の撮影を行った。スピンエコー法のT1強調画像(repetition time: TR/echo time: TE=500ms/9.3ms)、STIR (short TI inversion recovery)法(TR/TE=6300ms/9.3ms)、また造影剤投与後のダイナミックスタディーには3次元VIBE (volumetric interpolated breath-hold examination)法(TR/TE= 5ms/1.7ms)を行った。3inch小径表面コイルを用い7cm程の関心領域で512×256 matrixの条件で撮像すると、1voxelあたり0.137mmと高分解能で撮像が可能であった。模擬病変や実際の乳腺腫瘤の撮像により、小さな表在に近い病変の場合は、内部の微細構造、辺縁の性状、進展範囲の評価、随伴する乳管病変の評価は通常の乳腺コイルによる撮像よりも良好であった。ただし3inch小径コイルでは撮像範囲が限られ、サイズが大きな乳腺腫瘍や、乳房の深部にある病変では撮像は困難であった。臨床例は症例が限られたため、十分な症例数を集めることができなかった。本年度当院のMRI装置用に4〜11cmの表面コイルが導入されたので、これらのコイルを用いても撮像範囲の設定、通常の乳房コイルとの併用などを検討し、臨床例に応用していく予定である。
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