研究課題/領域番号 |
17790907
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
背山 泰治 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10376428)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 膵癌 / 膵管内乳頭腺腫 / 複合糖質 / ムチン / 腫瘍マーカー / 病態学 / 診断 / 予後 / 膵腫瘍 / 糖鎖 / 糖鎖構造 / 組織化学 |
研究概要 |
膵癌は発見時に進行していることが多く、また切除できても術後生存成績は非常に悪いのが現状である。早期発見、予後不良患者の同定は膵癌治療成績を向上する上で重要である。そこでます膵癌患者の予後解析、糖鎖抗原との関連を調べるために当科における過去の膵癌患者のデータベースを作成し予後解析を施行した。一方、我々はがん組織に高発現する複合糖質について研究を行い、KL-6とよばれる抗体によって認識されるムチン(KL-6ムチン)の発現が、乳頭部がんや大腸がんといった消化器がんにおけるがんの病態に関与することを明らかにしてきた。本研究では、予後が悪い膵癌(pancreatic carcinoma)における早期診断や予後診断に有用な腫瘍マーカーの開発を目指し、様々な手法を用いた膵癌におけるKL-6ムチンの臨床的意義を明らかにすることを目的とした。膵癌患者の過去のがん組織を用いた研究の結果KL-6ムチンが高頻度に発現していることが示唆された。更に膵癌切除標本から癌部、非癌部を採取し発現している糖鎖抗原を更に検索した。膵癌標本においてKL-6ムチンに対するタンパク質レベルでの種々の生化学的解析を試みたところ、がん細胞の細胞質や細胞膜におけるKL-6ムチンの局在性が、がん細胞の接着性や悪性度に関係することが明らかとなった。また癌化することが問題となっている膵管内乳頭腺腫でも悪性化するに従ってKL-6ムチンが発現していくことが明らかになり、膵癌発生過程との関連も示唆された。さらに、最近の当科の研究では、肝癌や肝内胆管癌に発生する種々の腫瘍におけるKL-6ムチンの高発現が明らかとなり、病態の進行との関連性が各種消化器がんと同様に示唆された。従って、本研究の結果より、KL-6は膵癌の発癌、予後に強く関連し早期発見のための腫瘍マーカーや予後不良患者を同定する因子となり得る可能性があるほか、各種がん疾患の病態解明のツールとして利用できることが期待される。
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