研究課題/領域番号 |
17790909
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
工藤 篤 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (20376734)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 脂肪肝 / 肝移植 / 保存液 / Mrp2 / 生体内異物解毒 / PPAR-gamma / TXA2 / MRP2 / 胆汁 / 解毒膿 / 炎症細胞浸潤 |
研究概要 |
脂肪肝の移植はグラフトの機能不全が起こりやすく、生着率と予後が増悪するが、Donor不足のために中等度脂肪肝すら使用せざるを得ない。従来の脂肪肝移植に関する研究はその大部分が類洞や脂肪滴の形態学に着目した研究が主体であり、脂肪肝の機能に着目した解析は皆無であったため、脂肪肝グラフトの脆弱性の機序は未だ解決されていない。本研究は脂肪肝の生体内異物解毒機構の側面からこの謎を解明しようとするものである。 Dietary Steatohepatitisにおける脂肪肝の解毒機能は、microvesicular fatty depositより、macrovesicular depositが主体になるレベルで障害された。特にグルタチオン抱合物の胆汁排泄は減少し、Carboxyfluoresceinによるtransport assayによるMRP2の排泄機能は著明に障害された。この原因を調べるために、GdC13でKupffer細胞の除去を行ったところ、MRP2の排泄障害は改善されなかったが、Thromboxane A2合成阻害剤、およびPPARγagonistの投与では改善が得られた。一方、Dietary SteatohepatitisのIntravital video microscopyによる微小循環の観察では、中心静脈領域の炎症細胞接着が脂肪滴の増加とともに増加しており、特に活性化した単球系細胞の接着が優位に上昇していた。Mrp2とZo-1の二重免疫染色では、Dietary SteatohepatitisでMrp2の肝細胞内へのinternalizationが著明に起こった。このinternalizationはTXA2合成阻害剤、およびPPARγagonistの使用で改善した。脂肪滴は必ずしも改善しなかった。 結論としては、Dietary Steatohepatitisは中心静脈領域の単球系炎症細胞の活性化によるPPARγを介したTXA2の分泌によって、Mrp2のinternalizationによる生体内異物解毒機構が障害されることが示された。この知見と2004年4月「HEPATOLOGY」に報告した結果(移植肝の脆弱性はKupffer細胞活性化による生体内異物の解毒機能障害である)とを総括すると、脂肪肝中心静脈領域の活性化単球系炎症細胞の存在に冷保存虚血再還流障害が加わることで、門脈領域に偏在するKupffer細胞の活性化を招く状態が想起される。以上より、脂肪肝グラフトの脆弱性とは、肝微小循環における過剰なTXA2産生がもたらす、Mrp2による生体内異物解毒機構の障害と考えられる。
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