配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
研究概要 |
本研究の最終年度である2007年度は,これまで開発してきた無細胞化大動脈弁を大動物に移植して左心高圧系に耐えうる再生心臓弁の可能性を実証する実験を行った.具体的には,マイクロ波と拍動循環とデオキシコール酸を使った独自処理方法を駆使し,清潔に採取したブタ大動脈弁を無細胞化してブタ下行大動脈に移植する実験を行った.移植期間は3ケ月(n=4),6ケ月(n=3),12ケ月(n=3)の3群に分け,組織学的また力学的に検証した.その結果,無細胞化大動脈は,1例も狭窄や瘤化するなどの問題は起こらず,1年間の長期にわたって高圧部位で機能することが明らかとなった.移植後の弁葉のカルシウム濃度を調べたところ,無細胞化大動脈弁は臨床で使われている最も優れた抗石灰化処理が施されている生体弁の1つであるプリマステントレス弁と比較しても顕著に石灰化を抑制できることが明らかとなった.無細胞化大動脈弁では,3ケ月,6ケ月,1年と長期使用しても弁葉部のカルシウム濃度は同程度であり,かつ,移植時の体重約40kgから半年後には3倍以上の体重に成長しているにもかかわらずカルシウム濃度は増大しないことが明らかとなった.したがって,本組織無細胞化心臓弁は成長する低年齢層に使用しても石灰化の抑制という点で大きな効果があると考えられた.また,弁葉の力学的特性を調べたところ,移植前と移植後3ケ月で弁葉の破断強度及び破断ひずみは同程度であり,強度は保持されることが判明した.また,乳下静脈から採取・培養した血管内皮細胞を培養して無細胞化した大動脈弁に予め拍動バイオリアクターを使って播種する手法も確立でき,6ケ月の移植実験から内皮細胞を播種しておいた方が再生が早く起こることが示唆された.以上より,本技術で開発した無細胞化心臓弁は左心高圧系でしっかり機能し,かつ再生し石灰化も抑制できることが明らかとなった.
|