研究課題/領域番号 |
17790983
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
植田 良 慶應大, 医学部, 助手 (30317143)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 脳神経疾患 / 癌 / 免疫学 / 遺伝子 / トランスレーショナルリサーチ |
研究概要 |
近年CD8陽性T細胞活性の増強や維持にはCD4陽性T細胞が重要な役割を担っていることが明らかになった。我々は、グリオーマ患者血清を用いたSEREX (serological identification of antigens by recombinant expression cloning)法により、精巣組織由来のcDNA libraryをスクリーニングしたところ、胎生期に転写調節因子として機能するSOX6を単離した。さらにSOX6は、グリオーマ組織において高い発現を示し、グリオーマ患者血清中IgG抗体に高頻度に認識されることから、SOX6が抗原特異的にCD4陽性T細胞を活性化していることが示唆された。そこで、グリオーマ担癌マウスモデルにおいて、CD8陽性T細胞に認識される抗原としてマウスグリオーマ由来新規抗原遺伝子GARC-1を、CD4陽性T細胞が認識する抗原としてSOX6を用いた腫瘍特異的免疫の活性化を試みた。GARC-1とSOX6それぞれの全長を含んだplasmid DNAをC57BL/6マウス皮内に遺伝子銃による免疫を行い、免疫マウスの脾細胞を用いて両抗原を発現しているマウス由来のグリオーマ細胞GL261をターゲットにしたIFN-γ assayを行ったところ、GARC-1とSOX6双方で免疫した群では各々単独で免疫した群やコントロール群と比してGL261に対するIFN-γ放出量の著明な増加を示した。このことから、GARC-1とSOX6双方で免疫した群ではGL261に対する特異的細胞障害性T細胞が誘導されたことが示唆された。また、最終ワクチンから2週間後に、免疫マウスの頭蓋内にGL261細胞を移植し、腫瘍の生着および増殖能を生存期間により検討したところ、GARC-1とSOX6双方で免疫した群ではコントロール群と比して有意に生存期間が延長された。 これらの結果から、CD4陽性T細胞を活性化し得るSEREX抗原SOX6とCD8陽性T細胞に認識されるグリオーマ抗原両者を用いた免疫遺伝子治療によって、グリオーマ細胞に対する特異的細胞障害性が増強され、さらに腫瘍拒絶能を向上し得ることが示された。このことから、グリオーマ抗原SOX6を用いたDNAワクチンは、グリオーマに対する免疫遺伝子治療に応用できる可能性があると考えられる。
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