研究概要 |
膀胱癌におけるE-cadherin機能破綻の機序の1つとして,EGFRの影響に着目し研究を進める。この経路を介在するCAV1遺伝子,SNAIL転写因子がこの反応を修飾し膀胱癌の悪性化・予後に影響を与えていると予想し,これらの遺伝子の発現プロファイルを検討し,癌の進展との関係を明らかにする。さらに,EGFR発現量に影響を与える遺伝子多型と,E-cadherin発現との関係を検討しEGFR多型が膀胱癌の浸潤・転移および予後に影響を与えているかどうか検討する。 今年度は、EGFR遺伝子intron 1領域のマイクロサテライト多型について検討を開始している。この遺伝子多型はCA繰り返し配列(16〜24回繰り返し配列)を有し、短い繰りし配列を持つ場合にはEGFR発現が亢進することが示されている。膀胱癌で特に悪性度の高い症例についてこの多型と実際の予後、E-カドヘリン発現の関連について検討しており、なんらかの相関が見いだされれば膀胱癌の転移のメカニズムの一つとして興味深い知見になるものと思われる。
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