研究概要 |
(1)前立腺癌スクリーニングにおける,血清テストステロン値の有用性を研究し,論文発表した。前立腺癌の存否と治療前血清テストステロン値や年齢,治療前血清PSA値,直腸診所見,free/total PSA比,前立腺体積,PSA density(PSAD)との相関について検討し,血清PSA値10ng/ml未満の症例群では,治療前血清テストステロン値は独立した有意な生検陽性予測因子であった。また,Gleason scoreが7以上の症例では7未満の群と比較して,治療前血清テストステロン値が有意に低値であった。低リスク群においては,治療前血清テストステロン値が生検陽性予測に有用であると考えられた。 (2)前立腺癌に対する腹腔鏡下手術の導入に際し,症例の多い施設での研修の有用性について検討した。2006年6月から同年12月までに術者として腹腔鏡下根治的前立腺全摘除術を19例施行し,その手術成績や術中術後合併症,術後再発に関し検討し,論文発表した。 (3)前立腺癌症例の生活の質,quality of life (QOL)に対する,アンドロゲン除去療法の及ぼす影響について検討,報告した。 (4)前立腺癌の内分泌療法不応性(再燃)機序の解明や治療法の確立、再燃予測マーカーの開発が治療予後を改善しうると考えられ,そのために新しい蛋白質質量分析装置であるSELDI-TOF MS protein chip system[○!R] (surface-enhanced laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry;表面増強型レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析装置、米Ciphergen社)を用いて疾患の病態を探るProteome解析を行った。この方法で再燃前立腺癌の新規バイオマーカー候補、またはその機序に関わる蛋白質を検索し,報告した。
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