研究概要 |
できるだけ効率よく外来遺伝子を発現させるため、蛍光蛋白の末端にミトコンドリアへの移行シグナルを付けたEYFP-mitoベクターを用い、外来遺伝子と蛍光蛋白との融合蛋白発現ベクターを構築した。このベクターを用いる際の遺伝子導入条件を設定するため、マウス精巣にエレクトロポレーション法によりEYFP-mitoベクターを導入して、EYFP蛋白の発現につき検討を行ない、最適な条件を決定しておいた。 マウス精巣のcDNAライブラリからクローニングに成功したマウスPLCζ遺伝子をEYFP-mitoベクターにサブクローニングした。このベクターから目的とするPLCζとEYFPとの融合蛋白が正しく発現されることを、大腸菌を用いて蛋白合成を行わせることで確認しておいた。 5週齢のICRマウスを用いて、3μg/mlに調整したPLCζ-EYFP-mitoベクター溶液を精巣網から逆行性に注入した後に50V,50msec,8回の電気刺激を行い、一定の期間の後(20日,40日,60日)にEYFP蛋白の発現を観察した。この条件下では精巣上体精子の中に、PLCζとEYFPとの融合蛋白を発現する精子がおおよそ10%の割合で認められた。 この精子とマウス卵を用いてIVFを試みたが、融合蛋白発現精子の数が少なかったためか受精にまでは至らなかった。今後、遺伝子導入された精子のみを分別し、IVFを繰り返し卵活性化のメカニズムの解析を試みる予定である。
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