研究概要 |
1、インフォームドコンセントを得て前立腺全摘除術を行った前立腺癌患者の前立腺組織を用いて前立腺間質細胞の初代培養を行い、昨年度に当研究にて確立した前立腺間質細胞と前立腺癌細胞(LNCap, C4-2B4,PC3)との共培養系を用いて、前立腺癌における前立腺癌上皮-間質相互作用のメカニズムを解析した。 2、前年度の当研究において間質細胞と前立腺癌細胞が共同してMMP(Matrix Metalloprotainase)発現の調節を行なっている可能性を示唆されたため、共培養系を用いて癌細胞と間質細胞におけるMMP(Matrix Metalloprotainase)の発現をRT-PCR法を用いいて評価し、間質細胞におけるMMP遺伝子の発現が、前立腺癌細胞によって抑制される事を示した。 3、時に上皮-間質相互作用に関連した、間質細胞内蛋白質のプロテオーム解析を行った。前立腺癌細胞(LNCap)の調整培養液によって活性化された、間質細胞の蛋白質を抽出し、2次元電気泳動で変化を示す蛋白質の同定を試みた。前立腺癌細胞によって刺激を受けた間質細胞では16kDa,48kDa,62kDa,73kDaの領域に蛋白質の発現を認められた。この蛋白質は共培養系による調整培養液の刺激によっても、同様のスポット発現が認められ、間質細胞が前立腺癌の液性因子によって相互作用を行うことが示された。現在、それぞれの蛋白質の単離、及び解析を行っている。この結果から、間質細胞側の蛋白質の変化を詳細に知る事により、癌細胞だけではなく間質細胞をターゲットとした新規の治療法の可能性が示唆された。
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