研究課題
若手研究(B)
ヒト子宮頚癌組織で90%以上で保存されているヒトパピローマウイルス(HPV)のE6/B7遺伝子領域は、細胞増殖に深く関与していることが報告されている。このうちE6遺伝子は、E7遺伝子のもたらす異常増殖シグナルって活性化されるp53を分解する役割を持つ。本研究では、子宮頸癌細胞で不活化しているp53安定化シグナルを癌細胞に再構築することにより、アポトーシスの誘導を目的としたゲノム創薬を行うことを目的とした。このため、光架橋性分子であるソラレンを核酸の5'水酸基に導入したアンチセンスオリゴDNA(光架橋型AS)を作成し、HPVE6癌遺伝子の選択的発現抑制手段の開発を行った。前年度の研究より、HPV18および16型E6を標的とした光架橋型ASをHPV陽性子宮頚癌細胞株に投与することで、E6蛋白発現の選択的抑制、及び、p53タンパク質の増加を伴ったアポトーシスが誘導されることが確認されている。本年度はこれらを3次元培養系および実験動物系に展開し、i nvivoでの有用性を評価した。子宮頸ガン細胞株をコラーゲンゲル上で3次元培養し、人工子宮頚ガン上皮3次元モデルを作成した。光架橋型ASを導入し、紫外線を照射することで、人工子宮頚ガン上皮層の顕著な減少が認められた。また、光架橋型AS処理した細胞をヌードマウスに移植したところ、配列特異的に造腫瘍性の著しい低下が見られた。以上の結果より、本法がin vivoでも有効であることが示唆された。さらに、GMPグレードの光架橋型AS合成を視野に入れ、アミダイト化ソラレンを用いて自動合成機によりオリゴDNAにソラレン導入したところ、細胞増殖抑制効果など、従来型と遜色ない結果を得た。今後、HPV陽性子宮頚部高度(CIN III)で妊孕性温存を希望する若年患者を対象とした臨床試験を開始し、その安全性及び有効性を評価する。
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