研究課題
若手研究(B)
内耳性難聴の病態および治療法の解明のため、各種実験動物モデルの作成および各種薬剤の保護・治療効果の検討を行っている。特に音響性内耳障害に重点を置き、強大音負荷モデルの作成、各種薬剤の保護効果およぴ薬剤の作用機序(フリーラジカルの関与等)についての研究をすすめており、なかでも音響性障害に対し保護効果を示すことが以前より報告されているステロイド剤(メチルプレドニゾロン)、フリ一ラジカルスカベンジャーであるTempol、PARS阻害薬である3-aminobenzamideについて電気生理学的、組織学的保護効果が認められている。γ-aminobutyric acid (GABA)は中枢神経における主要な抑制性神経伝達物質であり、脳幹聴覚経路においても密度の差はあれGABAニューロンが存在することがわかっている。GABA受容体に関しては、コルチ器における内有毛細胞領域に多く存在するといわれ、GABAの音響外傷における役割として、現在までにGABAAがAMPA, NMDAの神経興奮を抑制することが報告されている。今回、GABAAの作動薬であるmuscimol、拮抗薬であるbicucullineを用い、音響性内耳障害に対するGABAの影響を電気生理学的、組織学的に検討した。その結果、GABAAの作動薬であるmuscimolは音響障害による聴力閾値上昇を有意に軽減した。また組織学的検討では内有毛細胞下の神経終末の腫脹を有意に抑制しており、音響障害により、内有毛細胞から多量のグルタミン酸が放出されることによる一過性の神経障害をGABAが抑制したと考えられた。
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