研究概要 |
頭頸部癌臨床検体75症例にてAuroraキナーゼmRNA発現を検討した。内訳は口腔26例、上顎4例、上咽頭1例、中咽頭8例、下咽頭頸部食道16例、喉頭3例、甲状腺2例、唾液腺10例、リンパ節5例であった。 Aurora-A,B発現量の平均には差を認めなかった。Aurora-Aは中咽頭、上咽頭、口腔に多く、Aurora-Bは上咽頭、甲状腺、中咽頭、下咽頭・頸部食道、口腔に多く発現していた。喉頭、上顎における発現量は概して低かった。舌癌再発例でAurora-A,B、中咽頭初発例でAurora-Aの過剰発現を認めた。 症例の詳細が明らかなものを比較すると、扁平上皮癌37例と非扁平上皮癌13例ではAurora-A,Bの発現量に有意差を認めなかった。同様に初発か再発か、術前照射や化学療法の有無でも両者の発現に有意差を認めなかった。化学療法の効果は14例で判明しており、6例で有効(CR/PR)、8例で無効(NC/PD)であった。化療の効果によってもAurora発現に差を認めなかった。 経過を追跡できた49例中(追跡期間40日から429日)の11例に再発を認めた。再発例ではAurora-Aが低値であったが、有意差は認めなかった。Aurora-Bではその傾向を認めなかった。 Aurora-A,B発現の中央値よりも高値の場合、低値の場合の2群に分けて生存曲線(無再発生存)を算出し、生存率を比較したが、両者ともに差を認めなかった。 また細胞株を用いたタキソテールのMTT assayにおいてタキソテールのIC50は以下の如くであった。UM-SCC-6/10B/14A/17B/23/81B=3.82/1.54/1.70/2.19/8.06/2.84(×10^<-7>μg/mL)。現在までの検討ではAurora-A,B mRNA発現との間に有意な相関は得られなかった。
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