研究課題/領域番号 |
17791255
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
永井 紀博 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10327611)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 脈絡膜新生血管 / レニン・アンジオテンシン系 / 炎症 / ARB / 接着分子 / サイトカイン / 白血球 / 加齢黄斑変性 / 網膜血管新生 / 糖尿病網膜症 |
研究概要 |
[目的]脈絡膜血管新生(CNV)は失明の主要原因である加齢黄斑変性の中心病態である。我々はCNV形成へのアンジオテンシンII受容体シグナルの関与についてマウスレーザー誘導CNVモデル、ヒト加齢黄斑変性のCNV標本を用いて検討した。 [方法]C57BL/6マウスにアンジオテンシンII1型受容体(AT1-R)拮抗薬(telmisartan,5mg/kg/日)、AT2-R拮抗薬(PD123319,10mg/kg/日)またはPBSを7日間前投与後、光凝固によって実験的CNVを誘導し、CNV体積、脈絡膜における炎症関連分子の発現、CNVへの炎症細胞浸潤を比較検討した。また実験的CNV、ヒトCNV検体におけるレニン・アンジオテンシン系分子の発現を解析した。telmisartanはAT1-R阻害作用に加え、peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)-・刺激作用を有する。telmisartanのCNVへの作用がPPAR-・シグナルを介するか検討するため、マウスCNVモデルにtelmisartanと同時にPPAR-・阻害薬を投与しCNV体積を検討した。 [結果]ヒトCNV検体およびマウス実験的CNVでアンジオテンシンII、AT1-R、AT2-Rは主に血管内皮に局在していた。CNV体積はtelmisartan投与群で有意に抑制されたが、PD123319投与群では有為差はなかった。脈絡膜におけるVEGF、ICAM-1、MCP-1、IL-6の発現および炎症細胞浸潤はtelmisartan投与群でPBS群に比し有意に抑制された。PPAR-・阻害薬の同時投与によってtelmisartanのCNV抑制効果は部分的に阻害され、telmisartanはAT1-Rシグナル阻害、PPAR-・シグナル刺激の両者の作用を介し、CNVの抑制作用を示した。 [結論]本研究ではAT1-Rシグナルを介した炎症機序がCNVの形成に促進的に関与することが明らかになり、AT1-Rシグナルの阻害はCNV治療の新たな分子標的をなることが示唆された。 (Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2006;26:2252-2259)
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