研究概要 |
本研究の目的は骨形成因子(BMP)遺伝子導入による骨再生法において再生される骨量の調整機構を付与することである。そのために、BMPの作用レベルと分泌レベルでの制御機構を構築し、骨形成の制御を試みた。 1.BMP複数遺伝子導入による誘導骨の早期化:BMP-2遺伝子発現ベクターならびにBMP-7遺伝子発現ベクターを同時に導入することにより、より早期に骨誘導が可能となった。in vivoでの機序解明においてはすでにin vitroでの報告があるようにBMP-2/7のヘテロダイマー形成によるものと内因性BMPファミリーの誘導が関与していることが示唆された。 2.複数遺伝子発現ベクターを構築した。これにより、一つのベクター導入により、BMP-2/7遺伝子同時発現ベクターを構築した。これにより、一つのベクターの導入により、BMP-2/7のヘテロダイマー産生が可能となった。 3.BMP-2/7遺伝子発現ベクターのin vitroでの骨誘導の評価:作製したベクターをlipofection法にて筋原細胞であるC2C12細胞、前骨芽細胞であるMC3T3細胞、未分化間葉系細胞である10T1/2細胞にそれぞれ導入し、各々骨誘導能を組織化学的ならびに生化学的解析により検討をおこなった。その結果、BMP-2/7発現ベクターはBMP-2,BMP-7各々単独時での遺伝子導入時と比較して、有意に骨誘導能が高まる結果を得た。 4.キメラBMP-2,キメラBMP-7タンパク産生:BMP-2,BMP-7の二量体を産生するためにBMP-2,BMP-7キメラタンパク産生ベクターを構築した。In vitroにて各々のベクターをlipofection法にて導入し、タンパク産生ならびに骨誘導能を検討した。 これらの骨誘導の制御機構の構築を目的とした各々のベクターについて実際にin vivoでの骨誘導検討をin vivo electroporation法を用いて行っている。 これらの成果により、BMPを用いた骨再生治療法研究が単に"骨が形成された"という段階から発展し、商いレベルでの臨床応用研究に寄与されることと考える。
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