研究概要 |
本年度は,新しく導入した非接触型3次元形状計測機(VIVID910)のシステム内容の把握と確認,および計測精度の確認を行った。併せて,安定した計測が可能となる最適撮像条件について検討を行ない,本システムでの形状計測が可能であることが明らかとなった。補綴学的空間(デンチャー・スペース)の形状を3次元的に把握するためには,複数の方向から撮像した画像を合成し,立体としてのモデルを構築する必要がある.これに関しては,過去の文献を参考に,モデル構築の方法について検討を行い,顎模型や実験床を用いたテストモデル構築が可能となった。 その後、本学倫理委員会により承認の得られている、ピエゾグラフィ(発音時筋圧を利用した補綴学的空間採得法)を応用し,被験者より下顎補綴学的空間を採得したのち、本システムを用いて、計測用モデルの画像構築について検討を行った。従来のシステム(VIVID700)では、被験者10名より得られた下顎補綴学的空間の仮想咬合平面上における計測が可能であり,形態的特徴の把握を行うことができた。新しいシステムにおいても,同項目に関する検討を加え,これまでの研究結果と同様の傾向を確認することができた。被験者より得られた補綴学的空間には,アンダーカット部が存在し,一方向からの撮像では3次元形状の把握は困難である。前実験でマーカーを利用した画像張り合わせについて確認を行っているので,今後は3次元形状の計測を進め,発音時筋圧が補綴学的空間の形状に及ぼす影響についてさらに検討を加えていく予定である。
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