研究概要 |
本研究に対するインフォームドコンセントの得られた被験者それぞれにおいて、(A)通常時(コントロール)、(B)下顎前方位スプリント装着時、(C)スタビライゼーションスプリント装着時および(D)自作の睡眠時体位側臥位誘導装置装着時においてそれぞれ一晩ずつの計4日間、睡眠時呼吸状態、体位および咬筋筋電図の測定を行った。以下の項目を計測評価した。 1,睡眠時体位側臥位誘導装置装着による体位の変動 2,無呼吸低呼吸指数(AHI) 3,AHIの発生時における咬筋ブラキシズム(Lavigneら1996による) 4,AHI>5.0を示す軽度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)が疑われる被験者におけるAHI 本年度までに行われた被験者10名に対する結果は以下となる. 1,睡眠時体位側臥位誘導装置装着により、コントロールと比較して全睡眠時間中における側臥位の時間の割合は、平均32%から78%に有意に増加した(Paired t-test;p<0.01)。 2,AHIはコントロールと比較して(B)および(D)の条件下で有意に減少した(平均AHI:(A)5.71(B)3.66(C)4.76(D)3.67;Tukey-Kramer;p<0.05)。 3,AHIの発生と咬筋ブラキシズムの発生との相関関係は有意には認めなかった(Spearman's rank correlation;p=0.23)。 4.軽度OSASが疑われた被験者のみによるAHIは、コントロールと比較して(B)の条件下で有意に減少した平均AHI:(A)8.20(B)4.64(C)6.80(D)5.36,Tukey-Kramer;p<0.05)。 以上より、睡眠中に側臥位に誘導することで無呼吸を減少させ得ることがわかり、OSASの治療に際し、睡眠中体位の情報も考慮して治療方針を決定すべきではないかという考察に至った。
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