研究概要 |
1)in vivoにおける原感作後のアレルギー発症の検討 チタン,ニッケル,金属以外のコントロールとしてDNCB,OVAを正常C57BL6/Jマウス腹腔に投与し,感作した.2週間後,同一試薬を耳介皮下に投与し,48時間後に耳介腫脹反応を測定してアレルギー発症の有無を確認した.ニッケル,OVA投与群では耳介に著明な発赤・腫脹反応がみられ,アレルギーの発症が確認できたが,チタン投与群では耳介に著変を認めなかった.今回用いたような通法でアレルギーを誘導した場合,チタンの高い生体親和性からニッケルのようなアレルギー反応を惹起させるのは困難であると考えた. 2)アレルギー発症マウス全身検索 チタン以外の金属に対するアレルギーを発症したマウスの病態を検討した.所属リンパ節や脾臓を中心とした全身組織におけるサイトカイン,および炎症誘導物質の発現様式をRT-PCR法,ウエスタンブロット法,免疫組織学を用いて比較検討したところ,ニッケルアレルギー発症群マウスではリン酸化(活性化)MKK6遺伝子およびタンパクの発現の有意な上昇が認められた.また,同遺伝子の上昇は,マウス骨髄細胞から誘導・培養した樹上細胞に同刺激を加えて行ったウエスタンブロット,ELISA等でも確認された.しかしDNCB群では遺伝子・タンパクの発現増加がみられなかったことから,この現象が金属(現時点ではニッケル)に特異的である可能性が考えられた.
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