研究概要 |
ポータブル記録装置で抽出したブラキシズムの咬筋筋活動とアーチファクトの特微を明らかにする目的で,全身に臨床的な異常および側頭下顎障害の既往が認められず,自覚的,他覚的にbruxismの徴候・症状が認められる成人bruxist20名の夜間睡眠中の咬筋筋活動を無線テレメータシステムとポータブル記録装置を用いてデータレコーグに同時記録した.無線テレメータシステムによる記録は,脳電図,心電図,眼球運動図,呼吸運動図も含めた.再生した記録から,無線テレメータシステムによるデータを基準にポータブル記録装置によるデータの咬筋筋活動とアーチファクトを識別し,それぞれパターン化してディスクに保存した.分析は,パターン化されたデータの振幅と持続時間について,咬筋筋活動とアーチファクトとの間で比較した.その結果,咬筋筋活動は,アーチファクトに比べて振幅が大きく,持続時間が長いパターンを示した.一方,アーチファクトは,振幅が小さく,持続時間が長いパターン(パターンA)が多かったが,振幅が大きく,持続時間が短いパターン(パターンB)も観察された.パターンAでは,振幅が嘸下時の振幅よりも小さい場合がほとんどであったが,パターンBでは,その持続時間が筋活動の持続時間よりも短い場合がほとんどであった.これらのことから,ポータブル記録装置で抽出したブラキシズムの筋活動とアーチファクトは,それぞれ異なる特徴を有することが確認され,得られたデータの振幅と持続時間を調べることにより,両者を鑑別できる可能性が示唆された.
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