研究概要 |
これまでの研究で,BMPはMAPキナーゼの活性化を介して,VEGFを産生していることが明らかになっている。一方,これらのサイトカインは,MAPキナーゼを介する経路以外にPhosphatidylinositol 3(PI3)キナーゼを介する経路やSmadを介する経路など様々な情報伝達経路が認められており,VEGFの産生に関与していると考えられる。 そこで今回,ヒト骨芽細胞様細胞を用いて,BMPによるVEGF誘導におけるMAPキナーゼを中心とした情報伝達経路の関与の有無や,他の情報伝達経路間の相互作用(クロストーク)を明らかにすることを目的として研究を行なっている。 その結果,ヒト骨芽細胞様細胞(Saso-2 Osteosarcoma,G292 Osteosarcoma)において,BMP-2,BMP-4が用量依存性に,また時間依存性にVEGF誘導を抑制していることを確認した。さらにこの細胞において,MAPキナーゼ,PI3キナーゼ,プロテインキナーゼC,Rhoキナーゼの各種阻害剤によっても用量依存性にVEGF誘導を抑制していることを確認した。 また,ヒト歯髄由来のDPSCs(Dental Pulp Stem cells)より分化誘導した骨芽細胞様細胞を用いてVEGF誘導の解析を行なった結果,幹細胞性を維持した状態では,VBGFの誘導がBMPにより抑制されるのに対して,骨芽細胞の分化条件で培養し,オステオカルシンが発現した状態の細胞においては,BMPによるVEGF誘導が促進されることが明らかとなった。
|