研究概要 |
本研究の目的は個体内でのスマイルの個性について明らかにするとともに,顎顔面の解剖学的形態と表出されるスマイルとの関連について解明することである。3Dデジタイザ(Danae1OOSP,NECエンジニアリング)等を用いた表情の三次元動画像の解析により、1)右半側の顔面の幅が左半側よりも広い被検者の発現頻度が高く、またオトガイが左側に変位する被検者の発現頻度が高いことなどが示された。この結果はAngle Orthodontist誌に掲載された。2)Voluntary Smile 表出時における口角の変位は左右非対称であり、左側の口角の変位が大きい一側優位性を示すことが明らかとなった。また、顔の左右半側の大きさが相違している場合とそうでない場合とで、表情表出の対称性に異なった傾向が現れる可能性が示唆された。この結果はThe Mouth and Face Forum 2008 in silico Dentistry,Osaka にて発表され、American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics誌に投稿予定である。以上の成果より、ヒトの笑顔の特徴、とりわけ左右対称性に関する知見が得られた。これは歯科矯正治療および形成外科学の分野において、治療前後のスマイルを評価する際に重要な評価項目となるものである。また、3)安静時とVoluntary Smile 表出時の頬部の表面形状の変化について、年齢によって差があることが示唆され、この結果はThe Mouth and Face Forum 2008 in silico Dentistry,Osakaにて発表された。この成果により、表情のAgingを定量的に評価することが可能となった。
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