研究概要 |
以前の研究では骨芽細胞にBCGやEscherichia coli等を感染させる事により、4-1BBの増殖が認められた。更にLPSでも4-1BBの昇が認められた事から、免疫反応により4-1BBの発現が上昇すると考えたれていた。今回の研究では以前の研究と同じ手法を用い、若年性歯周炎の原因菌であるA.actinomycetemcomitans(A.a)をマウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞に感染させた。0,6,12,24時間後にPBSにて洗浄し、細胞外の細菌を除去したのち、Trizolを用いて回収した細胞からRT-PCRを行い4-1BBの発現量について検討した。その結果、A.aでは4-1BBの発現量が減少した。一方、Salmonella typhimuriumや、Staphylococcus aureusを骨芽細胞に感染させた場合、4-1BBの上昇が認められた事から、菌種によって4-1BBの発現に違いがある事が判明した。今回、A.aでは4-1BB発現が増加しなかった理由として、A.aはロイコトキシンを有し、白血球や単球に作用して溶血させる白血球抵抗作用があり、また4-1BBはT細胞の副刺激分子として知られており、免疫活性時に発現する事から、今回A.aが有するロイコトキシンによって細胞の免疫活性が低下したため、発現が低下したのではないかと考えられる。 そこで、免疫系に関与する細胞が4-1BBによる破骨細胞抑制効果に影響を与える可能性について検討するべくB細胞、T細胞を有しないSCIDマウスの骨髄細胞を使って破骨細胞誘導実験を行った。その結果、SCIDマウスの場合でも4-1BBによる破骨細胞分化抑制が認められた事から、4-1BBは恐らく単球・マクロファージに直接作用して破骨細胞の分化抑制をしていると考えられる。
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