研究概要 |
平成18年度は,実験群にimmobilization stressを与え,経時的に採血を行い,血中コルチコステロンを測定する拘束ストレス実験を行った。 1.実験群 母子分離群4群(1)早期分離12時間群(12E:6匹),(2)早期分離3時間群(3E:6匹),(3)後期分離12時間群(12L:6匹),(4)後期分離3時間群(3L:6匹))と(5)対照群(6匹)の計5群とした。 2.拘束ストレスimmobilization stress ラットの身体をテープでボード上に固定して実施した。拘束時間は30分間とした。 3.採血とコルチコステロン測定 採血は拘束ストレス直前とストレス開始15分後,30分後,60分後,120分後,180分後,240分後,300分後,360分後の計9回行い,遠心分離した血漿は冷凍保存し,蛋白競合法にてコルチコステロンを測定した。 【結果および考察】 早期分離群(12E群と3E群)では,拘束ストレス開始直後から血中コルチコステロン濃度は急激に増加し,その後の減少は他群と比較して遅く,他の3群(12L群,3L群,対照群)が360分経過後には基礎値と有意差がなくなったのに対し,360分経過しても基礎値に戻らなかった。一方,後期分離群(12L群と3L群)の血中コルチコステロン濃度変化には,対照群との間に有意差は認められなかった。早期分離群間の比較では12E群の方が3E群よりも変化の程度が大きく,ピーク後の減少も遅かった。 今回の結果から,生後早期(1週齢)に行われた母子分離が,ラットのストレスに対する視床下部-下垂体-副腎皮質系の反応性に長期的影響を与える可能性が示唆された。
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