ヒト末梢血液より分離したCD14陽性単球から、GM-CSFとIL-4添加培地によって通法通りに分化させた単球由来樹状細胞(MoDC)とニコチン存在下で分化させたNicotine-DC (NiDC)を用いて、ニコチンによる樹状細胞の機能制御について検討した。まずニコチンによる樹状細胞の分化の影響を単球の表面マーカーであるCD14と樹状細胞の表面マーカーであるCD1aを用いて検討したところMoDCとニコチン濃度10^<-8>~10^<-3>Mで分化させたNiDCではほとんど差は認められなかった。ニコチン濃度10<-2>MではほとんどCD1aを発現せず細胞生存率も激減しており、単球から樹状細胞への分化をほぼ完全に阻害した。 次にLPS刺激したMoDCとNiDCをアロCD4CD45陽性ナイーブT細胞と共培養して、T細胞の増殖活性を測定したところニコチン濃度依存的に抑制傾向を示した。そこでMoDCとニコチン濃度10^<-3>M存在下分化させたNiDCの共刺激分子の発現をFACSを用いて検討した。未成熟のNiDCでは未成熟MoDCと比較してCD86の発現が抑制されPD-L1、PD-L2の発現が亢進していた。LPS刺激した成熟NiDCは成熟MoDCと比較してHLA-DR、CD86の発現抑制と、PD-L1の発現亢進を認めた。高濃度ニコチン存在下ではDCは抑制性共刺激分子PD-L1の発現が誘導され、T細胞の増殖抑制を誘導したものと考えられる。
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